思春期早発症とは

思春期早発症とは、だいたい8〜14歳頃に始まる思春期が、通常よりも早い時期に性ホルモンの分泌が増え、身体に第二次性徴の変化が現れることです。
女の子の場合は、5〜7歳頃から乳房の発達や毛髪の生え始めが見られることがあります。男の子は同じく早い段階で声変わりや精巣の拡大が起こることが多いです。
思春期が早く始まると、身長が伸びるタイミングも早まりますが、その後身長が止まる時期が遅れ、結局低身長のまま終わったり、精神的に不安定になる事もあります。

思春期早発症の原因

遺伝的な要素

家族に早い思春期の経験があると、子どもも早くなることがあります。
診断されていなかったとしても親や姉妹に思春期早発症のような症状の経験がある方がいる場合は注意が必要です。

脳の異常

脳の視床下部や下垂体といった部分の異常や脳腫瘍などがホルモンの調節を乱し、早く思春期が始まることがあります。

内分泌の異常

性ホルモンを出す臓器(卵巣や精巣、甲状腺など)の病気や医薬品・化粧品・食物による性ホルモンの暴露が関わることがあります。

環境要因や生活習慣

栄養過多やストレスの影響も研究されています。
ただし、はっきりした因果関係はまだ解明されていません。

これらの要素が複合的に絡み合って思春期早発症になるケースもあります。

思春期早発症の症状

思春期早発症の症状は、身体的な変化として現れます。
お子さんや保護者の方が気づきやすいポイントを詳しく見てみましょう。

女の子の場合

  • 7歳6か月までに乳房の発達(しこりのような膨らみや大きさの変化)が起こる
  • 8歳までに陰毛や腋毛が生え始める
  • 10歳6か月までに生理が始まる(初潮)

男の子の場合

  • 9歳までに精巣や陰嚢が発育し拡大する(通常よりも大きなサイズ)
  • 10歳までに陰毛が生え始める
  • 11歳までに腋毛やひげが生え始める、声変わりが始まる

男女共通

  • 急速に身長が伸びる(その後に伸びが止まるリスクあり)
  • 体臭の変化がある(大人のような汗のにおい)
  • にきびが増える

これらの変化は早いと6〜8歳くらいにもみられることがあり、気づきやすいサインです。

  • いつもより早く身体の変化が始まった
  • 身長の伸びが早い
  • 心の不安や落ち込みを感じる

などが見られるようであれば、早めに医師の診察を受けましょう。

思春期早発症の診断と治療方法

診断の流れ

思春期早発症だと疑われる場合、次のような検査などを行います。

問診

まず、成長スピードや体の変化についての確認を行います。

身体検査

身長・体重の測定を行います。

ホルモン検査

性ホルモン(エストロゲンやテストステロン)、脳の指令を出すホルモンの量などを調べます。

画像検査

X線で骨の成熟度を調べます。

治療の種類

ホルモン調整療法

性ホルモンの過剰分泌を抑える薬を使います。
これにより、正常範囲の発育に整えます。

精神的サポート

心の問題を抱えやすいため、必要に応じて心理カウンセリングを行います。

定期的なフォローアップ

治療の経過や成長をしっかり見守ることが大切です。

早期に発見して適切な治療を行うことで、子どもの成長や心のケアがスムーズに行えます。

ご自宅で気をつけること

家庭でできるポイントをご紹介します。

お子さんの観察と早期発見

子どもが急に身体的変化を感じたら注意しましょう。
身長や体重の変化を定期的に確認してください。
行動や心の様子も観察します。
ストレスや不安、落ち込みが見られる場合は要注意です。

健康的な生活習慣の促進

バランスの良い食事を心がけましょう。加工食品や高脂肪食品を控えることが重要です。
規則正しい生活を送りましょう。
十分な睡眠を確保しましょう。

家庭でのサポート

子どもの話をよく聞き、不安を理解してあげましょう。
無理のない範囲で運動やリラックス時間を設け、ストレスが溜まらないようにしましょう。
心のケアも意識し、必要なら専門医と連携するようにしましょう。

まとめ

思春期早発症は、子どもたちの成長に大きな影響を与える可能性があります。
早期に気づき、適切な診断と治療を受けることが大事です。
お子さんの変化に気づいたときは、親御さんだけで悩まず、早めに受診するようにしましょう。
当院では思春期早発症に関する診断を行う専門外来を開設しています。また、低身長治療も合わせて行うこともできますので、お気軽にご相談ください。